アロマテラピーにはかかせない、香りの源となる「精油(エッセンシャルオイル)」。でも、精油ってどんなもので、どうやって選べばいいんでしょうか?
この記事では、アロマテラピー初心者さんに向けて、精油に対する疑問にわかりやすく答えます。
精油(エッセンシャルオイル)とは?
「アロマテラピー」は植物の香りを楽しみながら、香りの成分を使って病気の治療・予防の他、心身のリラックス・ストレスの解消などを目的とする自然療法の一種です。
「精油(エッセンシャルオイル)」とは、このアロマテラピーで使われる植物由来の香り成分のことです。
「精油」は、植物の花・茎・幹・根・樹脂・果皮を水蒸気蒸留などすることで得られる揮発性の油です。ちなみに「油(オイル)」と名前についていますが、オリーブオイルなどのような「油脂」ではありません。

「精油」と「アロマオイル」は違うもの?
日本ではアロマの専門店だけでなく通販サイト、雑貨屋など、植物由来のオイルはとても身近に販売されています。それらのラベルをよく見てみると「精油」「エッセンシャルオイル」「アロマオイル」など、いろんな名称が書かれていることに気づくでしょう。
「精油(エッセンシャルオイル)」は、上でも書いたように植物の花・茎・幹・根・樹脂・果皮などから抽出した天然の香り成分で、純度100%のオイルのことです。
一方で、「アロマオイル」は、一般的に精油や合成香料をアルコールや他のオイルで希釈したものを指します。

「アロマオイル」は「フレグランスオイル」「ポプリオイル」などと呼ばれることもあります。
香りを楽しむ「芳香浴」ならば、使うのは精油でもアロマオイルでもOK。十分にリラックス効果を味わうことができます。
でも、オイルが直接肌に触れるマッサージなどの用途や、健康効果を期待する場合は、純度100%の「精油(エッセンシャルオイル)」を選ぶほうがよいでしょう。
覚えておきたい「精油」がもつ4つの性質
精油の種類は200種類以上あるとされていますが、いくつかの共通する性質をもっています。精油を理解し、正しく使うために、これから紹介する4つの特徴は覚えておきましょう。
言葉は難しく感じるかもしれませんが、意味するところは簡単なので安心してください。
①芳香性:香りがある
香りを放つ性質を「芳香性」といいます。
精油は、さまざまな芳香性をもつ多数の成分を凝縮したものです。含まれる成分は植物ごとに異なっており、独特の香りを楽しめます。
②揮発性:香りが広がりやすい
液体が気体になる性質を「揮発性」といいます。
精油は自然と少しずつ揮発する性質があります。この揮発性のために、精油の香り成分が広がって、私達が香りを楽しむことができます。

精油の使用後は、揮発を防ぐために瓶のフタをしっかり閉めるようにしましょうね。
③脂溶性:油に溶けやすく、水に溶けにくい
油に溶けやすい性質を「脂溶性」または「親油性」といいます。
精油は、油に溶けやすく、水に溶けにくいという性質があります。例えば、精油をそのままお風呂に入れたり、希釈してスプレーにしようとしても、うまく水に溶けてくれません。この場合、無水エタノールなどに溶かしてから、水で希釈したりします。
マッサージオイルとして使う場合などは、オリーブオイルなどの油脂に精油を溶かして利用します。


④引火性:火が燃え移りやすい
火や熱によって燃えだす性質を「引火性」といいます。
精油は、揮発すると空気と混ざり、他から火や熱が移ると燃えだす性質があります。

火のそばで精油をあつかわないように注意しましょう。
精油がもたらす様々な作用
精油は正しく使えば、本当に様々な作用をもたらしてくれます。
精油の種類によって作用は異なりますが、概ね以下のような作用が期待できます。
強壮作用 | 身体を活性化したり、強くしたりする作用 |
去痰作用 | 痰の排出を促し、痰を切る作用 |
抗ウイルス作用 | ウイルスの増殖を抑える作用 |
抗菌作用 | 細菌の増殖を抑える作用 |
抗真菌作用 | カビや酵母など、真菌の増殖を抑える作用 |
殺菌作用 | 主に人体にとって有害な細菌などの病原体を殺す作用 |
収れん作用 | 皮膚を引き締める作用 |
消化促進・食欲増進作用 | 胃腸の消火活動を活発にし、食欲を増進させる作用 |
鎮静作用 | 神経系の働きを鎮め、心と身体の働きをリラックスさせる作用 |
鎮痛作用 | 痛みをやわらげる作用 |
保湿作用 | 皮膚の潤いを保ち、乾燥を防ぐ作用 |
ホルモン調整作用 | ホルモンバランスを整える作用 |
虫除け作用 | 虫を寄せつけない作用 |
免疫賦活作用 | 免疫の働きを高め、活性化する作用 |
利尿作用 | 尿の排泄を促進する作用 |
精油の選び方と購入方法
精油は医薬品ではありませんが、健康に影響をあたえる可能性のあるものです。安全で安心して使用できる精油を選ぶために、注意したいポイントを紹介しますね。
①アロマテラピーの専門店で購入する
日本では、精油はインターネットや通販、雑貨屋さんで手軽に購入することができます。でも、初心者の方はアロマテラピーの専門店で購入するのがオススメ。
専門店ならば、実際に香りを試すこともできるうえ、専門知識をもった販売員に相談もできるので安心です。近くに専門店がなく、インターネットで購入せざるをえない場合も、なるべくアロマテラピー専門店の通販を利用するようにしましょう。
②天然精油かどうかをチェック
アロマテラピーでは、植物から抽出された天然の精油を利用します。アロマテラピーを目的として精油を購入する際には、必ずラベル表示を確認し、「精油」や「エッセンシャルオイル」と明記された天然成分100%のものを選ぶようにしましょう。
③いろんな香りを試して、心地よい香りを選ぶ
苦手な香りを無理して使っても、期待した効果は得られないこともあります。
精油は200種類以上あると言われるほど種類が豊富。いろんな香りを試してみて、心地よく感じる香りを選びましょう。
④容器の遮光性などを確認
精油はとてもデリケート。紫外線・熱・温度で成分が変化してしまいます。そのため、市販されているものの多くは、遮光性のガラス容器に密封されています。
また精油が1滴ずつ出てくる「ドロッパー(中栓)」つきのほうが扱いやすいので、合わせてチェックしておきましょう。
精油をあつかうときの注意点
精油は危険なものではありませんが、「自然のものだから安全」という思い込みはNGです。アロマテラピーを安全に楽しむ際に注意したいポイントを紹介しますね。
使用上の注意
- アレルギーが出たらすぐに使用を中止する
- 原液を直接肌つけない
- 飲用はしない
- 妊娠中・授乳中・乳幼児に使用する際は、特に注意
- 持病のある方や薬を服用中の方は医師に確認する
保管方法
- 遮光性のガラス容器に密閉
- 直射日光の当たらない冷暗所に保管
- 保管期間は開封後1年が目安※
※種類によって、保管期間の目安は前後します
目的別おすすめ精油
上でも書いたように、精油は200種類以上あると言われています。いきなりたくさんお精油を目の前にしても、選ぶだけで大変です。
ここでは比較的手に入れやすく、使用用途の広いポピュラーな精油を目的別に紹介します。
リラックスしたいとき – ラベンダー

アロマテラピーといったら「ラベンダー」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ラベンダーのアロマオイルは、心身の緊張をほぐしてリラックスしたいときにとっても効果的。他にもいろんな嬉しい作用があるうえ、他のアロマオイルとのブレンドもしやすいので、常に一本は持っておきたいアロマオイルです。
気分転換したいとき – サンダルウッド

「サンダルウッド」の精油は、心の静寂をもたらしてくれる作用があり、古くから瞑想や宗教儀式で用いられてきた香りです。
深い呼吸をとりもどし、ネガティブな感情を浄化してくれるので、最近話題の「マインドフルネス」のお供にもピッタリ。
集中したいとき – グレープフルーツ

甘酸っぱくさわやかな「グレープフルーツ」の果実そのものの香りを楽しめます。グレープフルーツの芳香浴には脳の情報処理速度を高める効果も報告されています。
お掃除に – ティーツリー

「ティーツリー」の精油には、殺菌・抗菌作用があり、アロマスプレーを普段お掃除に使うとカビの予防にピッタリ。

迷ったら精油のセットもオススメ
アロマの専門店などで売っている人気の香りを詰合せた精油のセットは、アロマテラピーの入門にオススメ。アロマ中級者以上の方も、普段は買わないような新しい香りとの出会いも楽しめますよ。
まとめ:精油を理解して、安全に楽しもう
植物由来の天然成分100%の精油は、うまく使えば、心身によい影響をあたえてくれます。
基本的な性質を知っておくだけで、安心してアロマテラピーを楽しむことができるので、この記事で紹介したようなことは、しっかり覚えておいてくださいね。