うつ病の療養をしていましたが、仕事に復帰したい。でもまたうつ病が悪化するのではないかと心配。
そんな悩みに答えます。
本記事では、うつ病からの社会復帰に向けて、就職のサポートをしてくれる就労移行支援事業というサービスを紹介します。
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就労移行支援事業所とはどんなところ?

障がいのある人の社会参加をサポートする国の支援制度に、障害者総合支援法という法律があります。
就労移行支援事業所は、この法律に基づいて地方自治体から指定をうけてサービスを提供しています。
実は全国に3,000ヶ所以上も、このサービスを提供する事業所があり、利用者は3万人以上いるんです。
就労移行支援事業所を利用して、一般企業に就職する人は年々増えています。
就労移行支援事業所の利用対象者とは?
就労移行支援事業所を利用できるのは、以下のような人です。
- 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病を抱えている方
- 65歳未満である
- 一般企業への就職の意思がある
これらを満たしていれば、就労移行支援事業所に通所して、制度を利用することができます。
なお、障害者手帳を持っていなくても利用は可能ですが、医師の診断書や通院記録などを求められる場合があります。
必要書類は、各事業所に問い合わせてみてください。
就労移行支援のサービス内容とは?
就労移行支援事業所で受けられるサービスは、次のようなものです。
- 希望する仕事に必要な知識とスキルの習得
- 履歴書や応募書類の添削、模擬面接などの就職活動サポート
- 就職・転職に関する相談
- 適性に合った職場探しのアドバイス
- 企業における職場実習などの機会の提供
- 職場定着のための支援
提供しているプログラムは事業所によって異なります。
事業所を選ぶ際には、その事業所が提供しているプログラムを意識して選びましょう。
就労移行支援事業所を利用する5つのメリット

①「健康管理の力」を身につけることができる
うつ病から仕事復帰するには、まず何より健康を取り戻し、安定的に管理することが必要です。
就労移行支援事業所では、生活リズムの改善から仕事をしながらの健康管理方法まで学ぶことができます。
ふだん、明確に健康管理法って学ばないでが、義務教育の必修科目にしてほしいくらい重要ですよね。
②「障がい」への対応策を身に着けることが出来る
うつ病をわずらっていると、健康な人には当たり前のことが難しくなります。
就労移行支援事業所では、自己分析や障がいに対する知識の習得などによりそういった課題への対応策を身につけることができます。
③障がい者就労に詳しいスタッフに就労プランを立ててもらえる
体調の都合でいきなり週5日8時間勤務ができるとは限りません。
まずは週数日から1日3時間からといった就労プランを立ておくことで、就職後の職場定着率に大きな差がでてしまいます。
自分で就労プランを立てるのは案外難しいものです。「このくらいならできるかな?」と楽観的に考えすぎたり、逆に「ほんとにできるだろうか?」と悲観的に考えすぎたりしてしまうこともあります。
その点で、専門知識のあるスタッフに手伝ってもらえるのは、とても助かります。
④スキルアップ研修やトレーニングを受けることが出来る
それまで持っていたスキルにくわえ、新しいスキルを身につけることで新しい仕事を見つけやすくなります。
自分にあった新しいキャリアを歩むことができます。
⑤就職サポート、職場定着サポートも受けられる
多くの就労移行支援事業所では、就職後の職場定着率が8割以上になるなど、通常の就職にくらべて高くなっています。
就労移行支援事業所を利用する際の5つの注意点

①求人サポートの場ではない
就労移行支援事業所は、あくまで就職のサポートを受けるところなので、就職活動はハローワークと連携して行う必要があります。
ただし、企業とのつながりが強い事業所や、就活に強い事業所は就職先を紹介してくれるところもあります。
また転職支援をメインにしている会社が就労移行支援事業所を展開している場合もあるので、要チェックです。
②障がい者雇用枠での就職を希望する人向けの事業所が多い
一般枠の就職を希望する場合には希望にそぐわない可能性もありますので詳しくは、事業所に問い合わせてください。
③利用料が発生する場合がある
就労移行支援事業所は、無料で利用している人が多いですが、前年度の所得に応じて自己負担が発生する場合もあります。
以下の表は2019年11月現在のものです。
区分 | 世帯収入状況 | 負担額/月 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 負担なし |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 負担なし |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム・ケアホーム利用者を除く。 | 9,300円/上限 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円/上限 |
生活保護が適用されていない場合は、市民税の課税状況次第ですが、所得が大きい人はそれなりに負担額は大きくなります。
ただ要件によっては減免等もあるので、役場の担当課に問い合わせてみてください。
とりあえず生活に困る前に医師や市区町村の担当課に相談しましょう。うつ病の人をサポートする制度は、意外とたくさんあります。
④通所期間中は就業できない
就業を支援してくれる公共サービスなので、通所中は、就業準備に専念する必要があります。
ただし、どうしても働く必要がある場合など例外はあるので、必要に応じて相談してください。
⑤最長利用期間の制限がある
就労移行支援事業所の利用期間は原則として最長24か月の期間です。
24ヶ月を超えて利用するには、市区町村に申請して審査を受ける必要があります。
まずは体験利用や見学をしてみよう

実際の就労移行支援事業所を利用する前に色々と知ることができる体験利用や見学内容を紹介します。
体験利用の申込方法
体験利用をしたい場合にはまずは各就労移行支援事業所に問い合わせてみましょう。問い合わせ方法は各事業所で用意されている方法が異なりますが、次の方法が一般的です。
- 電話
- メール
- ホームページより問い合わせ
まずは見学だけから…という方は、見学のみもOKな就労移行支援事業所が多いので、見学を申し込んでみてください。
体験利用の流れ
STEP1 まずはスタッフによるカウンセリング
就労移行支援事業所の体験利用では、実際の事業所利用と同じく、最初にカウンセリングがあります。これまでの就労経験や、現在の体調などを質問されますが、答えられる範囲のみでOK。
カウンセリング時には、以下のような質問をしておきましょう。
- どのようなカリキュラムやサービスが用意されているのか
- 就職実績や職場定着実績
そのほかにも気になることはどんどん聞いておきましょう。
STEP2 カリキュラムの提案
カウンセリング内容を元に、体験利用できるプログラムやカリキュラムを提案してくれますので、気になるものを選びましょう。
STEP3 体験利用
希望したカリキュラムを体験利用します。
STEP4 面談
プログラムの体験を終えて、スタッフさんと再度面談。
利用の意思確認もされますが、悩んでいる場合はこの日に結論を出さなくてOK。
すぐに結論をださず、複数の事業所を体験してから、じっくり考えて決めましょう。
うつ病の人のための就労移行支援事業所を紹介

以下ではオススメの就労移行支援事業所を紹介します。
LITALICO(りたりこ)ワークス

LITALICOワークスは、株式会社 LITALICO(LITALICO lnc.)が運営する就労支援サービスです。
累計3,000社以上の職場で、7,000名以上の方の就職をサポートしてきた実績があり、職場定着率も88%と高水準。精神障がいだけでなく様々な障がいに対応してくれます。
全国各地に事業所があるので、住まいの近くに通いやすい事業所を見つけられる可能性が高いです。
資料請求にもすぐ応じてくれて、近隣の事業所のスケジュールなども同封してくれたので、通所のイメージがつかみやすかったです。
項目 | 内容 |
---|---|
事業所名 | LITALICO(リタリコ)ワークス |
運営会社 | 株式会社 LITALICO(LITALICO lnc.) |
形式 | 通所型 |
営業所 | 全国71ヶ所以上(2020年2月現在) |
営業日時 | 営業所により異なります |
通所回数目安 | 利用者ごとに調整OK |
就職実績 | 8,000名以上 |
定着率 | 89.7% |
特記事項 |
ミラトレ

ミラトレは、総合人材サービス「パーソルグループ」の特例子会社パーソルチャレンジが運営する就労移行支援事業所です。
パーソルチャレンジ自体が300人以上の障害のある社員を雇用していることもあり、障害者とともに働く経験が豊富で、現実的なサポートが期待できます。
スキルアップや模擬就労のなど、就職に直接的に繋がるようなトレーニングが多く、他の就労移行支援に比べて就職率が高いのも特徴。
就職先の紹介も幅広い業種・職種に対応しているので、利用者の状況や希望にあわせて対応してくれるのが魅力です。
項目 | 内容 |
---|---|
事業所名 | ミラトレ |
運営会社 | パーソルチャレンジ株式会社 |
形式 | 通所型 |
営業所 | 12ヶ所 |
営業日時 | 要問い合わせ |
通所回数目安 | 利用者ごとに調整 |
特記事項 | 就労移行支援以外にも、障害者向け転職・就職支援「dodaチャレンジ」を運営 |
Cocorport(ココルポート)
Cocorport(ココルポート)は、株式会社ココルポートが運営する就労移行支援サービスです。
2019年9月時点で、首都圏(1都3県)で38事業所、福岡に1事業所展開しています。
ココルポートでは90種類以上の多種多様なプログラムを提供しているのが特徴です。 ビジネススキルの向上はもちろんのこと、特に職場定着に必要なコミュニケーションスキルやストレス耐性を身に付けるトレーニングに力が入っています。
僕みたいなコミュ障さんにはぴったりのプランです_(:3」∠)_
2018年度実績で就職後半年の職場定着率が85.4%と高いのも、良質なプログラムと手厚いサポートのおかげかもしれませんね。
首都圏在住の人には、特にオススメできる事業所です。
資料請求にも迅速に対応してくれますし、予約制ですが近隣の事業所の見学等も希望の日程でできます。
また、通所にかかる交通費の支給や、ランチ費用の支給といった特典もうれしいです。
項目 | 内容 |
---|---|
事業所名 | Cocorport(ココルポート) |
運営会社 | 株式会社ココルポート |
形式 | 通所型 |
営業所 | 首都圏(1都3県)で42事業所、福岡に1事業所 (2019年12月時点) |
営業日時 | 要問合せ |
通所回数目安 | 利用者ごとに調整 |
就職者数 | |
定着率 | 85.4% |
特記事項 | ・自宅から事業所までの交通費助成(上限1万円) ・ランチ助成 |
atGP シゴトライ
シゴトライは、大手障害者向け人材サービス「atGP」のゼネラルパートナーズが運営する、うつ症状専門の就労移行支援です。
シゴトライはうつ症状専門なので、身体障害や発達障害、その他の精神障害の方は対象外です。
ゼネラルパートナーズは、発達障害の方専門の『リンクビー』、統合失調症の方専門の『リドアーズ』、難病の方専門の『ベネファイ』、聴覚障害の方専門の『いそひと』を運営しています。
15年以上に渡り、障害者の就職・転職をサポートを実施してきた「atGP」と連携していて、プロのキャリアアドバイザーから内定までサポートを受けることができる、うつ症状専門のカリキュラムが用意されています。
また、90%という非常に高い職場定着率を誇っている点も見逃せません(平成29年4月時点) (※厚生労働省 行政文書開示請求「平成27年度就労移行等実態調査」より)
うつ症状専門というだけに、同じ症状、同じ目標を持つ仲間と、悩みや解決策の情報共有ができるメリットも。
項目 | 内容 |
---|---|
事業所名 | シゴトライ |
運営会社 | 株式会社ゼネラルパートナーズ |
形式 | 通所型 |
営業所 | 秋葉原と大阪の2ヶ所 |
営業日時 | 9:00〜18:00(月〜金) |
通所回数目安 | 3〜5日 |
就職実績 | |
定着率 | 90% |
特記事項 | ・東京都・大阪府で就職実績No.1 ・就職後の職場定着率も90% |
atGPジョブトレIT・Web

株式会社ゼネラルパートナーズが運営するatGPジョブトレIT・Webは、その名のとおり、Web制作のスキル取得に特化した就労移行支援事業所です。
技術を身に着けてWeb業界で働きたい方には、イチオシの事業所です。
項目 | 内容 |
---|---|
事業所名 | atGPジョブトレIT・Web |
運営会社 | 株式会社ゼネラルパートナーズ |
形式 | 通所型 |
営業所 | 渋谷と秋葉原 |
営業日時 | 月〜土曜 10:00〜16:00 |
通所回数目安 | 週4日以上 |
特記事項 | ・PCや学習に必要なソフトはすべて一人一台準備 ・運営会社のゼネラルパートナーズは、障害者向けの 就職・転職サービスを提供している会社 |
まとめ
本記事では「【就労移行支援事業所とは?】体験利用の内容や流れとオススメ事業所を紹介」について解説しました。
就労移行支援事業所では、うつ病と付き合いながら働く方法を学べるだけでなく、就職のためのスキルアップ研修や、就労定着支援をうけることができます。
就労移行支援事業所は、雰囲気やカリキュラムの内容を知るための体験利用や見学もできます。
- 就職したいけど、体調に不安がある
- 生活リズムを整えたい
- 新しいスキルを身に着けたい
そんな方には、ぜひ就労移行支援事業所の体験利用をオススメします。